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映画『マネーショート』から学ぶリーマンショック

マネーショート

映画には金融関係をテーマにした物語がたくさんあります。

今回はその中から『マネーショート』を紹介します。

住宅ローンのバブルからリーマンショックまでを描いた映画なのですが、言葉や内容が難しいので簡単に解説します。

映画『マネーショート』とは!?

映画『マネーボール』の原作者マイケル・ルイスの著書『世紀の空売り世界経済の破綻に賭けた男たち』に基づく作品です。

後述しますが、厳密に言うと空売りではありません。

日本公開は2016年3月4日。

題名にもある”ショート”は日本語に訳すと本来なら”短い”ですが、投資の世界では”売り”を表します。それに対して”ロング”は”買い”になります。

例えば、ドル円でこの先ドルの価値が上がると思うなら買いの”ロング”、そして実際に上がればドルに対しての円の価値が下がります。いわゆる円安の状態ですね。

逆に”ショート”では、ドルの価値が下がり円高になります。

住宅ブームからリーマンショックまで

リーマンショックを理解するためには、事の発端となった住宅ブームから知る必要があります。

住宅バブルと大手投資銀行倒産とは一見なんの繋がりもなさそうに見えますが、ドミノ倒しのように起こるべくして起こった一大イベントなんです。

簡単に流れをまとめるとこんな感じです。

  • 2000年初頭:住宅ブームが巻き起こる
  • 2006年:住宅価格頭打ち
  • 2007年:サブプライムローン問題、住宅ローンを証券化し取り扱っていた金融機関が次々と大損失
  • 2008年9月 リーマンブラザーズ倒産

それぞれをもうちょっと突っ込んでみていきましょう。

サブプライムローンとは??

サブプライムローンは所得水準の低い人たち向けの住宅ローンです。

借金の延滞をしていたり、自己破産経験があったり、クレジットヒストリーが悪かったりとお金を借りるステータスとしてはお世辞にも良いとは言えない人向けです。

貸す側の銀行からすれば返ってこない可能性の高いローンです。

「なんでそんな破産するリスクの高い人たちにお金を貸したの!?」 普通ならこう思いますよね?

しかし、銀行は貸し渋るどころかどんどん貸しつけて利益を伸ばします。

理由の1つに住宅価格の高騰が挙げられます。

実際アメリカの住宅価格は2000年から2006年にかけて2,3倍になっています。

それに目をつけ銀行は「数年後には価格が倍になるのでもしローンが返せなくなった場合は家を売って支払えば良い!しかもお釣りがくるよ!!」なんていう営業トークで低所得者にマイホーム購入を促しました。

しかも、審査もせずに貸し続けてたんです。

サブプライムローンは最初の数年は固定で低金利ですが、それ以降は変動金利で高金利になる仕組みです。
数年の低金利と住宅価格高騰に食いつき、借りる側もあまり深く考えずに借りていたんでしょうね。住宅価格が上がり続ける限りはサブプライムローンは破綻する事はなかったんです。

サブプライムローンの証券化

銀行が低所得者にお金を貸し続けていたもう1つの理由が住宅ローンの証券化。証券というと株をイメージする人が多いかもしれません。

しかし、いろんなものが証券化されています。

国債、社債、リート(簡単に言うと不動産が証券化されたもの)などなど、住宅ローンの証券もそれらと同じです。証券化は証券会社やリーマンのような投資銀行を仲介して発行されます。

下記のように債権は流動します。

低所得者 → 銀行 → 証券会社や投資銀行 → ファンド、個人投資家

証券化のメリットしては2つあります。

  • キャッシュフローが良くなる。証券を売る事によってお金が入る事により次のローン貸し付けが行える。
  • 債権が証券会社に渡るのでリスク回避にもなる。ババ抜きと一緒でババは早く他の人になすりつけたい。

ここで、作中にもよく出てきた訳のわからない証券の専門用語を説明します。

MBS

MBSとはMortgage Backed Securitiesの略で、日本語に訳すと不動産担保証券です。

“Mortgage”この単語は2分に1回ぐらい出てきてたんじゃないでしょうか?

辞書で引くと”抵当権”、”担保”がまず出てきますが、ここでの意味は住宅ローンです。

MBSはシンプルにさっきのサブプライムローンなど銀行が貸し出した住宅ローンをまとめて証券化したものです。

CDO

CDOとはCollateralized Debt Obligationの略で、日本語に訳すと債務担保証券。

MBSが単一の証券なのに対して、CDOは複合型。その中身はMBSを始め国債や社債などいろんな債権を組み込んだ証券です。

証券を証券化しちゃった金融商品です。

CDOを作った理由は簡単です。

作中にも出てきてましたが、債権には信用度を格付けするシステムがあります。AAAやらAやらBBBやら。

投資家にとってはこれが1つの投資基準でもあり、当然投資家はリスクの高いBBBのMBSには手を出さない訳です。

そこで銀行および証券会社が考えた結果が、「BBBのMBSを含めた複合型の証券を作ってそれをAAAで売り出そう!!」ていうとんでもない策だったんですね。

しかも高利回りで。

ローリスクでハイリターンが得られる商品に世界の金融機関や投資家がこぞって買い漁る結果になりました。

さらに、CDOを組み合わせ複合型CDOを。さらに、さらに、、、なんてことを繰り返しどんどん複雑化していき、

売る側も買う側も訳のわからない証券を取引していたんだと思います。

CDS

CDSとはCredit Default Swap(クレジット・デフォルト・スワップ)の略です。これが主人公らが取引した商品です。

CDSは、先ほどの証券とは異なり、賭けや保険に近いです。

彼らはMBSの価値が下がった時に巨額な保険金が入るように保険をかけていました。

定期的に「プレミアム」(掛け賃)を支払えさえすれば、その権利が与えられるのです。

自動車保険やがん保険と同じ仕組みです。

毎月保険料を払っていれば、事故に起こった時やがんにかかった時に保険料が支払われます。

クスチャンベールが演じるマイケルはリスクの高いBBBのMBSの下落に対して保険を掛けました。リスクが高いので保険料は高いです。

一方、ブラピ演じるベンらは質の高いMBSの下落に対して保険を掛けます。リスクが少ない分保険料も低いのです。

これが冒頭に言った「厳密には「空売り」とは違う」の説明です。

リーマンショック

2006年半ばから住宅価格が下落し始め、一方サブプライムローンの金利は上がり低所得者たちがローンを返せなくなりました。

そして、住宅ローン関係の証券が値下がり、そこからは銀行や証券会社をはじめ多くの金融機関が崩壊していったのです。

中でもリーマンブラザーズは資本の約半分が不動産関係のローンや証券だったので、一気に破産への道を辿って行ったのです。

全世界経済の約9割が株や為替といった実体のない金融経済と言われています。

いつ何がきっかけでバブルが弾けるかわかりません。

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